2021.03.29

ノルウェーグルメ

愛すべきケッタイな国・ノルウェー  オスロ便り(40)/伝統のデザート、ノルウェーワッフル

Lenge siden sist! (レンゲシーデンシスト!)お久しぶりです!オスロのしぐりです。

先月、かの有名なエドヴァルド・ムンクの『叫び』にちょっとした新発見があったの、ご存じですか?今、ノルウェーの国立美術館は、新国立美術館へお引越しの最中で、それに伴った収蔵品の調査が行われているのですが、国立美術館所蔵の『叫び』(1893年作)の左上の雲の中に書かれていた鉛筆書きの文字が、赤外線の調査により、ムンク本人の手によるものだということが証明されたんですね。

この作品、厚紙(Cardboard)の上に油彩、テンペラ、パステル、クレヨン、と様々な画材を駆使して描かれておりまして、さらに鉛筆書きの文字が絵の具の上に乗っている、つまり作品が仕上げられたうえで鉛筆で何か書き加えられたものだということは顕微鏡による調査で判明していたのですが、誰の手によって書きこまれたものか長年不明だったんです。

ちなみに、既にご存じの方も多いかと思いますが、ムンクさん、この国立美術館所蔵の『叫び』以外にも、全く同じモチーフでさらに4作品、パステルやリトグラフなど手法を変えて作成しております。(さらに、「リトグラフ」というのは石版を使った版画でして、リトグラフ・バージョンに関しては45枚ほど刷られています。)つまり、『叫び』という作品自体はこの世に複数枚存在しているんですね。2018-2019年にムンク美術館から日本へ貸し出された『叫び』を生でご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、来日したバージョンは、一連の『叫び』作品の中では一番遅い1910年に描かれたもので、今回新発見のあった『叫び』とはまた別の作品です。

国立美術館の記事はこちら

赤いうねりの中に文字っぽいものが書かれているの、わかりますでしょうか。「狂った男にしか描くことができない!」(«Kan kun være malt av en gal mand!»)と書かれており、ムンクさんの筆跡に間違いないそうです。この落書き自体は早くも1904年、デンマーク・コペンハーゲンで開催された展覧会において、美術評論家が既に発見していたそうですが、ムンクさん自身の手によるものか、この作品に対して批判的な誰かが書き込んだものか、120年近くも謎だったんですね。

ノルウェーでこの作品が公開されたのは、作品の完成から2年後の1895年10月、クリスチアニア(現在のオスロ)のブロムクヴィンスト画廊でのことでしたが、当時としてはあまりのアバンギャルドさに批判的な意見が殺到。高名な美術評論家のヘンリック・グロッシュは「もはやムンクを脳が正常な真面目な男とみなす」ことはできない、とこき下ろすわ、学生協会主催の 討論会(ムンクも出席していたと思われる)では、医学生のヨハン・シャルフェンベルグが、精神医学の見地からムンクの精神状態を疑問視するような発言をするわ、と、散々な反応を食らっちゃってるんですね。鉛筆の落書きは、そういった批判的な反応に対する反骨精神のようなものだったのかもしれません。

ちなみに、この『叫び』には鉛筆の落書きだけでなく、ロウソクを吹き消したときに飛んだと思われるロウの跡も右下の橋の欄干のところに残されています。…なんという乱雑な扱い…。ご本人もその周りの人たちも、この作品にまさか何十億もの値段が付くようになるとは夢にも思っていなかったのでしょうね。COVIDが終息して、またノルウェーに来れるようになりましたら、是非一度、新たに生まれ変わった新国立美術館でじっくり実物をご覧いただきたいと思います。

さてさて、今回はノルウェー定番のデザート、ノルウェーワッフルのご紹介です。一見なんの変哲もない素朴なワッフルなのですが、素朴な分、飽きが来にくく、誰にでも手軽に作れて、老若男女問わずに好まれるおやつなんでしょうね。人が集まるシチュエーションでよく登場します。

上皇ご夫妻もノルウェーで召し上がられたことがあるそうですよ!2005年5月、平成天皇皇后両陛下としてノルウェーをご訪問された折、ノルウェー王妃とご一緒にフィヨルド方面のご視察にも向かわれたそうですが、フィヨルドに面するとある村でご休憩の際、大自然の中での心穏やかなひと時のお供としてふるまわれたのが、このワッフルだったそうです。それくらい、ノルウェーの伝統や生活の中に深く根付いているおやつなんですね。

ワッフルの生地自体はごくごくシンプルでありふれた味なのですが、トッピングにノルウェーの個性が主張されています。「ブルンオスト」と呼ばれるヤギ乳のブレンドされたノルウェー独特のブラウンチーズ、ベリー系のジャム、サワークリームの三点セットがノルウェーワッフルの定番です。

このブラウンチーズ、商品によってヤギ乳の配合具合が異なりまして、お好みの濃さのものを選びます。茶色が濃ければ濃いほど、ヤギ乳の独特な風味が強くなるので、はじめは薄茶色のものからお試しいただくと無難です。なぜ茶色なのかというと、カラメル化するまでじっくりと過熱して作られているからなんですね。つまり、甘いんです。普通の黄色いチーズの味が頭にあると、はじめその甘みにびっくりしてしまうのですが、スウィーツ系チーズがお好きな方は、はまるかと思います。

こちらがワッフルメーカー。昔は直火式でフライパンのような調理器具だったそうですが、今はこういった形の電化製品が主流です。大阪のたこ焼き器ではないですが、だいたいどこのノルウェー人家庭にも一台ある代物です。

ワッフル生地は、それぞれの家庭に伝わるレシピがあったりするのですが、材料としては、小麦粉、卵、牛乳、バター、砂糖、ベーキングパウダーがマスト。そこにカルダモンやバニラシュガー等アレンジを加えたり、牛乳なしでつくる家庭もあります。でも、材料を揃えるのが面倒であれば、こういった形の、溶かしたバターと水を加えるだけの粉も、普通のスーパーで簡単に手に入ります。まぁ、日本で言うお好み焼き粉やたこ焼き粉のような感覚ですかね。

今回選んだのは全粒粉のワッフル。バターを結構使いますからね。オーツ麦とか、少しでも体に良さげなものが入っていてくれると罪悪感が薄れます(笑)。

ワッフルメーカーを温めたら、くっつき防止にバターを薄く引いて、生地を流し込みます。膨らむので、型よりも少なめに入れるのがコツ。うっかりちょうどくらいの量を入れてしまうと、焼いているうちにあふれ出してきます。

数分待てば出来上がり!お花のような形で、線に沿って手でちぎると5つのハート形になるのが特徴です。

5つに裂くと一つ一つが可愛いハート形になる…はずでした…。まぁ何となく雰囲気はわかってもらえますかね。

うちではジャムの代わりに、夏に収穫して凍らせておいた赤すぐりの実をトッピング。

お家にワッフルメーカーが眠っている、なんていう方、是非一度トライしてみてはいかがでしょうか。ブラウンチーズがなくても、そして形が違っても、薄めに焼いてベリー系ジャムとサワークリームを添えるだけで、なんちゃってノルウェーの雰囲気を楽しめますよ!

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